「意外と迷信信じたりしてるよね、つづみちゃん」
「あら、迷信といえどバカにはできないものよ。例えば、西の方のあの山が見えなくなったら明日は雨って話」
「ケーブルカーの上に雨乞いの神社があるよね。山に向かって祈ったりしてたのかな」
「あれって、単に西から天気が変わるから、向こうが曇るとこっちも晴れるって話なの」
「なんだ、そんなタネが」
「でも、偏西風とか気圧配置とか……そんな科学的な根拠が分かってなかった時代でも、誰かが法則性に気付いて、それが人々に信じられて……なんだか面白いと思わない?」
「うん、迷信にも意外と根拠があったりするんだよってことはわかった」
「あら、何か言いたげね」
「でも……さすがにコーラ程度じゃ歯は溶けないんじゃないかな」
「……どうしても未だに苦手意識が拭えないのよ、頭では分かっていても」