コロニアルな表象で、たぶんまだちゃんと読みとかれていると言えない領域に明治浮世絵がある。
これは月岡芳年の「芳年武者无類」(明治16年と19年)のうち2図、左は加藤清正と論語を読む猿の図、右は源為朝が鬼島(たぶん伊豆諸島のどこか)を征服する図。
加藤清正は明治の10〜20年代にかけてよく描かれたモチーフで、清正は朝鮮出兵でかなり恐れられた武将だった。その清正が論語を読む猿に感心する。
源為朝の図も似た表象の仕方で、伊豆諸島で「鬼」の住む島を征服するけど、鬼は衣服もままならず知能も低そうに描かれている。
当時の日本のアジアへの野心を読みとることがあきらかに可能だけど、この手の明治浮世絵の意味を読む論考はたぶんない気がする。