とわなみさん @towanami の新作漫画『ハートビート』のネタバレなしの感想(レビューみたいな感じの推薦文)です。
本当に良かったので、大変押しつけがましいのですが、
「山川夜高のバンドものが好きな人はぜひ、とわなみさんのバンドものも読んでください……!」
という熱い気持ちで筆を執ります。
あらすじ・試し読み→ https://misskey.design/notes/a5dqo0vgvvbz008u
通販→ https://misskey.design/notes/a5qkzi4jjlpg53u5
▼あらすじ(引用)
ロックバンドのベーシストとして活動中のミラエス
今日もファンからチヤホヤされていた
ところが新メンバー・ロアンの加入により人気を奪われてしまう
ミラエスは無事返り咲くことができるのか?
(1) キャラ造形がいい
やっぱり漫画作品なので、主役の造形は大事なポイントだと思います。
試し読み で公開されている p.1 大ゴマのミラエスのビジュアルがめっっっちゃ好きです。
ちょっと今「試し読み」のリンクを飛んできてください。
見ましたか?
「ひょうひょうとした態度でベースを弾く、たれ目で口が ω のかたちで女子にモテモテのベーシスト女子」って、
考えうる限り 最高 じゃないですか?
そんなミラエスの前に現れる新メンバーのギタリスト・ロアンは、田舎出身で朴訥としたところがあるも、飾らない言動が王子様みたいなイケメン女子。
とわなみさんの作画でミラエスもロアンもおそらく意図的に中性的なキャラクターデザインに落とし込まれているのも良いポイントです。
そんな感じで「女性2人のライバルもの」(でも外見もキャラクターの内面もフェミニンに振ってはいない) として始まるミラエス・ロアンの対比や、他の登場人物のキャラ造形がたいへん味わい深いです。
これ以降はネタバレに触れざるをえないから皆早く『ハートビート』を通販で買うんだ!
……皆好きだ……
(2) 色々な人が登場する作風がいい
※ネタバレとまでは行かないと思いますが、「一切の事前情報を知りたくない」方はこれ以降のレビューの文章から何かを察してしまうかもしれません。
とわなみさんの作品では、色々なバックグラウンドや属性を持っている人が「物語を盛り上げるためのギミックとしてではなく」、「ただ普通に」そこに生活している様子が描かれます。
物語には日本人風の名前の人物も登場するけれど、おそらく日本が舞台でなく(命名から絶妙な「パラレル世界」感がにじんでいる)
外国人風の名前の人物も具体的に何語の人名か分からないので、やっぱりこの世界と似て非なる別世界が舞台なんだと察します。
今作の新キャラの名前も絶妙なパラレル人名で、それが独特な浮遊感を感じられてすごく良いんですよね。
またストーリー上でも仰々しいカタルシスを与えるため「ではなく」、「ただ普通のこととして」ある人の青春の物語が語られます。
色々な人が自然とそこにいてただ普通に生活していることが、私にはとても励まされて嬉しい気持ちになりました。
これ以上はめちゃくちゃネタバレになるので、このあと通販勢が読み終わったころに「あれ最高だったよね〜〜〜!」と絡みに行く人になることにします。
(3) 苦くなりすぎない絵柄がいい
とわなみさんの脚本は(作家本人の作品説明にもあるとおり)ややビターな読み味が特徴です。
でも、とわなみさんの頭身低め・線の太い・デフォルメ強めの海外アニメライクな絵柄のおかげで、ストーリーの苦味から「えぐみのある悲壮感」が程よく除湿され、からっとして後味よく感じられるようになっています。
とわなみさんのストーリーはとわなみさんの絵柄で描かれるから良いと、本作を読んで改めて思いました。
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これだけ「ネタバレ無し感想」を書いてもまだ足りないんですが、
ぜひ『ハートビート』を山川にだまされたと思ってお手にとってください!
俺はっ、ミラエスを、チヤホヤしたいんだ……!!!
とわなみさん、作品を発表してくれてありがとう……(激重の感想)
ご静聴ありがとうございました。