たまたまAroAce(Aロマンティック(他人に対して恋愛感情を抱かない)・Aセクシャル(他人に対して性的欲求を抱かない)の総称の略らしい。どうやらそういう界隈があるっぽい？)に関する記事のリンクを見かけ、そこを起点に色々な文章を読んだので所感を書いていく。
https://note.com/1bunno100/
最初に見かけたnote。アンケート記事なんかを一通り読んでいただくと、無性愛者ってこんな感覚なんだな、とはいっても十人十色なんだなということが伝わるかと思う。私も読んでいて「こういうところは共感できるなあ」「そういう考え方もあるんだなあ」の両者があった。
そして気付いたのは、いわゆる「界隈」というものを形成して積極的に発信している人たちというのは、「強烈な疎外感」を感じるイベントがあり、それがきっかけで自らのアイデンティティを追い求め、たどり着いた先がAセクだった、という共通点がありそうだということ。
翻って自分はどうかと考えると、幸運にもこれまでの人生で「強烈な疎外感」を感じることはなかった。ただし、ほんのりとした疎外感やら違和感やらは感じていたところでAセクの概念に出会い自認したという流れ。なので「悩みなどをぶつけ合うために同じ境遇の人と繋がりたい」という意識は希薄だなあという気付きを得た。
そして、先のnoteを読んでいたところエーゴセクシャル(他人に対する性的欲求は抱かないが性的欲求自体はある)という概念を知った。詳細をカミングアウトするのには非常に抵抗があるので立ち入らない(自身の性的欲求に関して他人に共有することが著しく苦手)が、非常に腑に落ちるところがあった。
https://note.com/asexualnight/n/n4da524d3336d
https://note.com/asexualnight/n/n7f45f732d722
上記noteで言及されている、Aセク界隈ではそこそこ有名そうな人のnote。特に上記2記事についてはAセクの何たるかが分かりやすく伝わってきて、当事者である自分にとっても思考の整理となったし、当事者以外にとってはAセクの概念についてエッセンスが伝わるであろう良記事だった。
個人的に、オタクとカテゴライズされる人の中には、これまでの人生でたまたま違和感に気付かなかっただけで、この概念を知ると自分もアセクシャルだなと自認する人は一定数いるのではないかと思っている。「リア充爆発しろ」みたいな言説や性欲渦巻くTLなんかに違和感を抱いてる人はきっともっといるでしょ？？？Aセクは全人口の1%と言われてるらしいけどオタク人口の10%くらいはこれなんじゃないの？？？
さて、上記のnoteは良記事ではあるものの、この筆者はかなり「強い思想」を持っており、何点か反論したい箇所もあったので下記に記載していく。
https://note.com/asexualnight/n/n94174affd4b1
上記記事については思想強めで、到底諸手を挙げて受け入れられる論ではないが、自分がなんとなく抱いていた違和感の一端が言語化されている感じはする。大学の時にセクマイ当事者が集うサークルに興味は湧いたものの結局足が向かなかったのってこういうことなんだよな。
「幸福とは異性愛的な欲望と不可分なものである」という主張、ならびにその主張に基づいて展開される「無性愛者は幸福という概念の存在を否定すべきである」という論に対しては明確に否定したい。(ただし私も、異性愛者の考える幸福のかなりの部分は異性愛的な欲望によっている、とは思う)
とはいえ、じゃあ幸福ってなんだという問いに対して何か明確な答えを出せるわけではない。大した物欲はないし、それに関連してお金に対する欲求も薄い。地位にも興味はない。じゃあ何のために生きているのかといえば「たのしく生きる」ためなのである(これは私の座右の銘)。イカロさんのいうところの「感動」の概念に近しいものかもしれない。もう少し具体的に言語化するとすれば、気付き、知見、発見……？どれもあまりしっくりくる表現ではないけれど、とにかくも思考に関連するところに快楽を感じている部分が大きいように思う。
https://note.com/asexualnight/n/ne1271f58ec9d
この記事も極めて強い思想が感じられる。バリバリに違和感があるので言語化しておく。
まず、超マクロな「ヒトという種の存続」という目標はあってしかるべきと考える。ただ、「じゃあそれはなんで？」と言われると答えは出てこない。個人的には「本能的な部分にそうプログラミングされているから」みたいに思っているけど、生物学的にどの程度正しいかは知らん。ともかくも、私はこの大前提を受け入れているから、世の中が異性愛者だらけで性愛の概念が広く共有されていることも人類の存続のためには仕方なかろうと思っている。とはいえ、全ての行動が100%そのためではないよね、とも思っている。
要は上記と同様に「大部分」かもしれないけど「全部」ではないでしょうという結論に落ち着くんだな。やはりゼロかイチかという議論は非常に危ないんだなあ。
