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プロミシング・ヤング・ウーマン 長い、ネタバレ
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プロミシング・ヤング・ウーマン、という映画を見た。アマゾンプライムで。
 これ、短くまとめると、「泥酔した女性を助ける振りをして襲う、どこにでもいる普通の男性」を退治して回ることにとりつかれた女性の話。
 上記の「 」内が成立しているのかどうかわからない。私の狭い世界ではそんなやつはいないように見える。もちろん、そういうことをする異常なやつはいる。しかし、この映画の世界観では、そういうやつが普通の男性の中に当たり前にいる。
 もう少し丁寧にいうと、この映画が指差す、そういうやつ、には、そういうことをするやつを傍観する人も、そういうことをするやつに対する告発を門前払いする責任者や告発を潰す弁護士も含まれる。性別は問わず。
 成立しているのか分からない、という私も、この映画の中では糾弾されそうな気がする。
 これは大きなネタバレだけど、当初そういうやつではないまともな人物として描かれる人が、やはりそうでないことが発覚する。この展開は、「同志少女よ、敵を撃て」とよく似ている。あの小説の世界でも、そういうやつは普通にいるのだった。違うのは、あれは第二次世界大戦の戦場の話なので、その時そこではそうだったんだろう、ということにして読めるが、この映画は2020頃の米国の日常で、いまここでそうなんだよ、と迫ってくること。かろうじて日本で見ているので、米国ではそうなんだろう、とかわす余地があるが、かわしたつもりで直撃されてないか。
 という訳で大変居心地の悪さがつきまとうのだけれど、一瞬もだれることのない展開で、ほっこりできる明るいシーンもあり、エンタメとして良くできている。「スタートアップ」で主役の最低男を演じたアダム・ブロディと、「キック・アス2」で変態なヴィランを演じたクリストファー・ミンツ・プラスが冒頭でそれぞれ順番に退治されるまでの最低っぷりは見物ではある。