:夜は寝た方がいい:
:shitakara_tsudumi:<青い解体新書に書いてあったの。
ぜんぶが、ぜんぶが、ぜんぶが・・・ぜんぶがわかったの
:shitakara_sasara:<つづみちゃん、その解体新書、ちょっとちょっと違くない?
#靑い解体新書チャレンジ
https://voskey.icalo.net/play/9d5yxm5wot
昨日は散々な日だった。つづみちゃんとは喧嘩別れだったし。
はぁ、さすがに私も大人気なかったかなあ。私から謝ったほうがいいんだろうけど……でも、さすがに昨日の今日じゃあまだ気まずいよね……。でも……。
そんなことを逡巡しながら歩いていたら、いつの間にやらいつもの停留場を通り過ぎていた。まあ、たまにはちょっとくらい歩いてもいいか。
1つ先の停留場に電車が滑り込む。窓には見慣れた、でも今は一番見たくない、青い影。手元の本に視線を落としていることを横目で見ながら、離れた席に陣取る。
「おや、お嬢さん」
すらりとしたアンドロイドに話しかけられる。胸元には「アテンダント 結月 凪」の名札。あれ、不正乗車なんてしてないよね?急に不安がこみあげる。
「そんな浮かない顔をしていたら、せっかくの可愛い顔が台無しですよ」
なんだ、世間話か。余計なお世話だ、と思っていたら……。
「ほら、そちらの美人さんも」
これは面倒くさいことに……いや、まさか私たちの関係をとっさに見抜いてこんなことを?
「泣きっ面なんて似合いませんよ、ほら凪の面でも見て」
ドヤ顔で大して上手くもないジョークを繰り出すアンドロイド。なんだかおかしくて、小さく噴き出してしまう。
そうか、これ全部分かってやってるんだな。人間を超えた気遣い、まさにこれが……「シンギュラリティ、ってやつだね」
「そんな大層なものじゃないわ」
聞き慣れた、落ち着くツッコミの声。やっぱり、こうじゃなきゃな。口元が緩む。きっと同じ顔してるんだろうな、つづみちゃんも。
そして自然と、いま一番言うべき言葉が口をついた。
「昨日は、ごめん」