「だから大抵の数学者は孤独です。私は違いますけどね」と言い放った数学者はひどく傲慢で、憎らしい態度だった しかしそうなってしまうのもわかる、なぜなら、ひとりではないと思えてしまった瞬間にひとは傲慢になるので…………
数学者と将校って互いが互いの唯一の拠り所と言っても過言ではなく、魂の在り処が七年間も不在だったのってほんとうにほんとうにキツイ話だなって 将校は少し潔癖すぎた だから瓦解した 数学者は己の穢れも飲み込める強さがあった、もともと卑屈だったせいもあるのかもしれないが
「時計は一つだけだろう?」についてずっと考えていた 時計とはふたりの過ごした時間のメタファーであると仮定すると、「ふたりきりで過ごした時間は無限(永遠)である」という読みができないだろうか 無限という概念をどう解釈するかでかなり話が変わってくるけれど、私は(かれらにとって)ふたりで過ごした時間≒思考は限りのないものである、と解釈した 別の解釈もたくさんできると思うので引き続き考えていきたい