すみません、人間のどうしようもない業が好きなので大変好みでした。

こっから考察。

個人的に気に掛かったのは左目の描写です、日本的に右も左は浄と不浄をそれぞれ司るシンボリズムがあります。また、日本には神を見たために片目になった一族がいるという話もある。不浄を左目に、禁忌を左目に集約させたと考察されていたが、最後の場面にあった槍が左目を貫いてるから犠牲者たちの左目が貫かれていたからかもしれないが、禁忌を犯したものの象徴なのかもしれないと私は思いました。見ると見ないことの境目、片目、禁忌を犯し、「人」であることを捨てた人の末路だからこそああだったのかも……。最後に、縁起物の達磨にあるように片目は祈願を込められ成就するプロセスを象徴してるなどとも言われている。果たして、彼らの願いは、祈願は、最後叶ったのではなかろうか。

そもそも俺はSIREN畑の人間だから、業に塗れた因習村とその現状を知って自分には手に負えなくて泣き叫ぶ成人男性に弱いんだ。子供達なー悲しいけど因習を断ち切るにはあれがベストなのかもな。そこには怨念が残っちゃうから……。見てはいけないものの存在をまず認知して、それを見て、それでいて見るべきものを選択し、見て、知る事が大事なんだなぁ……。水木さんが記憶喪失になったのも怨念を残さないためなのかもなぁ……。どうしても生き証人というのは怨念という縁から逃れられないだろうし……狂骨が長い時間をかけて淘汰されて、怨念がようやくなくなってからこそ語り継げるものなのかもなあ。

こうぞうさん好きだな、因習村の中でまともだった人間枠の末路として車に轢かれて死ぬの好きすぎる。俺は「車輪の下」という小説が大嫌いだけど主人公ハンスが故郷のだれからも理解されず、自らの新たな才能も見出すことができず、事故か自死かわからないままドブで死んでるラストは好きなんだ。言いたいことわかるか？まともだけど社会や因習って大きな枠組みからは抜け出せないんだ。