ある人が、AIを使用して生成した絵について「己の実力で無い絵」と表していたが、それは妥当なのだろうか?
現代、相当数の絵描きは、その作業工程にコンピューターの力を借りている。ペイントソフト上で作業しているのではないか。それは果たして、「己の実力で描いている」と言えるのだろうか?例えば、アンドゥ・リドゥは「描き直し」をソフトにさせてる訳だし、レイヤの重ね合わせ時の効果(乗算とかオーバーレイとか)、ブラシのパターンなんかも、ソフトで自動で「描いて」いるのであって、自らの手とペンで、そうなるように描いている訳ではない。勿論、その使い熟しは絵描き自身の知識に拠る物だろうが、「描いて」いるのはコンピューターのソフトであって、当人の手に付いた技術では無い。これは、AIの使い熟しと同じ線の上に在るのではないだろうか。
何なら、手書きの頃から「そう」なのではないか。例えばスクリーントーンは、自分で「描いて」いると言えるだろうか。もっと突き詰めると、他者の絵を参考にする事でさえ「実力で無い」と言えてしまうだろう。それで得た知識は、他者から齎された物なのだから。
(続く)